「まぁでも、俺が顧問にとやかく言うことじゃねぇしなぁ」
「顧問にはもう、相談することはあっても、
特に意見を言おうとは思わないんだよ。
あ、別に仲が悪いわけじゃないぜ」
では、あなたがおっしゃる顧問に対する印象などを聞かせて下さい。
「ああ、いいぜ」
「そうだなぁ、ああ、あの時の事を思い出しちゃったぜ」
どんな事でしょうか?
「ああ、懐かしいなぁ。顧問と大喧嘩してた時の事を思い出すと」
「なんで、俺の考えが理解出来ない!?なんてなぁ、ハッハッハ」
「でも、俺が間違ってたよ。顧問の様な考えも必要だ」
どうして、必要だと思ったのでしょうか?
「顧問は、いや俺もだけど、多分"欲"があんまり無いんだよなぁ」
「でも多くの人々は、煩悩よろしく"あれも欲しいこれも欲しい"だしなぁ」
「といっても、それは別に変な事じゃないんだけど」
「欲が無いわけじゃないんだけどなぁ。
でも、上っ面だけパクった模倣品(模倣って考え自体は大切なんだが)とか粗悪品とかの雨あられを見ていると、
特に欲しいとは思わないしなぁ」
「あと、仮に質が良かったとしても、
殺人をしてまで作りたいとも思わないしなぁ」
「って、顧問は思ってんじゃねえかなぁと」
「でも、それだと、いつまで経ってもモノが上がんねぇんだよなぁ」
「俺達も、なんだかんだ生かしてもらってるからよ」
「手前の好みばかり追求せずに、人々が求めているモノを作るってのもアリじゃねぇのって」
「といっても、顧問の様な人がいないと、
さらに粗悪品が増えていってしまうから、
だから、顧問の様な存在も必要だなってな」
「顧問の考えにだって、デメリットはあるし、
他の考えにだって、デメリットはあると思うんだけどな。
何を重視するのか、何を目指すのかによって、そんなもん全然変わる」
なるほど。では、顧問に不満はないわけですね。
「顧問に不満が無いかって言ったら嘘になるけどよ。
でも、顧問だって俺に不満あるかもしれないし、
あと、不満があるって事は、相手に何がしかを期待してるんじゃねぇかなって思うし。
何とも思ってない相手に、不満は持たないだろ?
あ、じゃあ顧問は俺に不満持ってないな。特に期待されてないだろうし、ハッハッハ」
いやいや、期待してると思いますよ。
「・・・・・・つってもまぁ、"別にどっちでも良い"んだけどな。だから"顧問"なわけだし」
これからは、どうされていくつもりなのでしょうか?
「顧問と離れていても、支えることは出来ると思うからよ」
「ちょっと俺も、思う所があるから、その思っていることを実践していくっていうかもうしてるんだけど、それを続けていくつもりさ」
それは、どんなことでしょうか。もう少し詳しく。
「そいつは、"企業秘密"ってヤツだなぁ、ハッハッハ。というか、さっきヒント出してるから、よく考えてみな」
分かりました、どうもありがとうございました。
卒業者さんは、新たな道を歩み始めました。
といっても、別に仲違いとか喧嘩別れではなく、
「原則だけは忘れずに」、その上で独自の考えに基づいた道を歩んでいく様です。
---------------------- 卒業者の視点 完 ------------------------
続く
あとがき:
今回は、前回とは全く逆の視点を書いてみました。
いわゆる「守破離」でいう「離」は、こんな感じの、
少なくとも、仲違いや喧嘩別れでの「離」ではないだろうと思います。
さて、次回からは、内容がもう少し濃く(黒く?)なっていくと思いますよ。