奇特なブログ

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山本五十六から学ぶ「大局観」

※実話ベースの映画ですが、一応ネタバレ注意です

現在公開中の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を観て、「大局観」という言葉を連想しました。
また、山本五十六がどういう人なのかは、コチラをご覧になっていただくとしまして。
作品(というか歴史)の中で五十六は。
太平洋戦争を行なっても日本は米国に勝てないと最初から思っていたのか、
日・独・伊の三国同盟にも最後まで反対したり、対米に対しても講和(戦争の中止)を望んでいた様です。
日本国内の殆どの人達が、上記とは逆の立場を取っていたにも関わらず。

私もそうですが、戦後に生まれて歴史として太平洋戦争を知った人々は。
米国との戦力の差ひとつを見ても、日本が劣勢だというのは、
比較的すんなりと理解出来るのではないかと思います。

しかし、当時生きていた五十六は、どうして日本が劣勢だと確信出来たのか。
軍人として、太平洋戦争前にも幾多の戦いを経験したからこそ、
米国に駐在して、自分の身体で米国の戦力を感じたからこそ。
つまり、「軍人としての経験からくる直感」により、大局観が備わった結果なのではないかと思いました。

当時の日本の状況からみて。
戦争と講和のどちらが、短期的にではなく長期的に見て良いのか。
また、映画の中で「九死に一生すら得れず、十死に零生になるのは絶対に認めない」とも言っています。
「負けていい所」も知っていたのかもしれません。

しかし、そんな五十六ですが。
結果として戦死してしまいます。
どのように死んだのかの詳細は省きますが、
私には「優しさが仇となった」様に感じました。
そして、五十六の死後も、結局講和をする事はなく、
ポツダム宣言により日本が降伏するまで、戦争は続きました。
また、五十六の死から戦争終結までの日本の死者数は、
戦争全体の死者数の「9割」にも及んだそうです。

で、これはあくまでも「たられば」論ですけど。
五十六が生きていたら、ここまでの被害者は出なかったかもしれない。
原爆も落とされなかったかもしれない。
同じ降伏でも、もう少し早く出来ていたかもしれない。

ここからは、不謹慎な話ですが。
私は、人間の命の重さを不平等に扱ってはいけないと思いますし、
五十六が死んだことで救われた命も、多分あったかと思います。
それでも私は、大局観を考えるなら。
まだ五十六は、死んではいけない人物だったのではないかと感じました。
当時の日本の状況を考えると、講和に持ち込めたのは五十六「だけ」なのではと、
素人ながらに思いましたので。
勿論、五十六が死ななかったことで、更に被害者が増加する可能性もあり。
そういった意味で、「こうしておけば良かったのでは」という答えを出すのは非常に難しいのですが、
でも、もう少しどうにかならなかったのかと感じました。
まあ、五十六本人の気持ちになって考えると、仕方無いって気もしましたけどね。
同郷の自分より若い人が、先に死んだとかもあったみたいですし。

ダラダラと話が長くなりましたが、「大局観」についてもう少し。
私自身が最近経験したことでも感じたのですが。
大局観がない人は、物事を人を「ある一つの視点からしか見なかった」り、
「他の視点からは違う様に見える事を知らなかった」りする気がします。
別に、その視点は視点で、「視点の中の一つ」なので、
間違っていないことも多いのが厄介なのですが。
それでも、今の自分には見えない視点がきっとあるはずと、まず意識すること。
また、五十六も言ってましたが、「世界をこの目で耳で心で感じる」事。
要するに、今の自分には分からないことを、積極的に分かろうとする事。
で、その為には、「自分は何が分かっていて、何が分かっていないのか」という、
自己分析が必要です。
というか「この知識は自分には必要ない」と断言する為には、自己分析は必須の作業だと思いますけどね。
あと、上記でも少し書きましたが。
五十六は、軍人として戦場という現場に立ったからこそ、米国の脅威を理解出来たのだと思います。
戦場に立っていない素人が、戦艦とか魚雷とかの戦争の武器を見ても、
危険な事ぐらいは分かっても、「どのくらいの強さを持っているのか」なんて分かりませんよね。
だから、全然関係ないようにも見えますが、
現場に入って実作業もしないと、大局観というのは備わらないのではと思います。
で、それらを踏まえると、
現場を知らない知ろうとしない経営者が言う、
「目先だけではなく長期的に見て」何ていう発言の中身など、
大局観が備わっていない「全く空っぽ」の内容だといえると思います。
実際そうですし(苦笑)

大局観、結構難しい概念だと思います。
まあ、大局観について色々書籍も出ている様なので、私ももっと詳しく学んでみたいと思います。

あと、今回の話とは全然関係ないですけど、映画の中で良かった話を一つ。
何の本なのかは伏せますが。
原典である洋書には書いてあるが、
翻訳された和書には書いて「いなかった」という内容があった時に五十六が、
「真実は原典を辿らないと分からない(実際のセリフとは違うけど)」
みたいな事を言いまして。
「名言」だと思いました。

関連:
大局観かぁ
http://d.hatena.ne.jp/gallu/20111130/p1