奇特なブログ

「殊勝に値する行いや心掛け」を意味する、奇特な人になる為のブログです

Missingは自分を知り役割を決める為の本でもある

Missingという小説を、先日全巻読破したので、その感想などなどを。
それにしても、えらい長くなってしまいましたねw

まず、この小説、表のテーマとしては「怪奇ファンタジー(結構怖いです)」なんでしょうけど、
裏というか、もう一つのテーマとしてタイトルの内容もあるんだろうなと。
登場人物一人一人が、「自分の内面と向き合い」、
「自分が出来ることは、成すべきことは何か」を考え、行動しているのを見て思いましたよ。
役割を固定化して、可能性を狭めてしまうのも、もったいないっちゃもったいないと思うけども、
「なんか、色々彷徨っているけど、結局の所、アンタ何したいの?」という、
「自分を見失っている様な状態」を見ていると、
「役割を固定化してしまった方が、"本人にとって幸せ"だし、周囲にとってもその方が良いのでは」と、
思ったわけです。
「良い意味での諦め」(明らめ)も大切でしょう。
ええまぁ、他人と違って自分は「血肉」で切り離すことが出来ないから、
「自分と向き合って傷付くのが嫌」だとは思いますけどね。
そして、私はそういった考えも受け入れる(支持はしないけど)ので、
興味が無ければ、この本を読む必要はないでしょう。
でも、そうでなければ、オススメ出来る本だと思います。

何が良かったか。
色々ありそうですけど、「登場人物の個性が様々で且つはっきりしている」ので、
自分が登場人物の誰に似ているのかが、分かりやすいんじゃないかと。
まぁ、「個性が極端」なので、
「ドンピシャ」っていうよりは、Aさん4割・Bさん3割・Cさん3割みたくなるとは思いますけど。
じゃあ、そんな登場人物を見て私が感じたことを、以下から書いてみたいと思います。
ちなみに、最終的にはですけど、「登場人物全員素敵」だと、私は思いましたね。

1.村神 俊也

あんまり印象に残ってないんですけど、
「友情」を大切にする人なんだろうなと。
でも、最終的には、別に友情を捨てたわけじゃないんでしょうけど、
もう少し高尚なレベルに基づいた言動を取った感じがしましたね。
後述する、空目への依存度も下がった感じがしましたし。
現実でこういうタイプの人は・・・なぜか思い浮かばないですね、なぜか。

2.木戸野 亜紀

「あやめ」という女の子に対する接し方とかを見てると、
「しょうがない人だねぇ」って感じでしたし、
「湯浅みちる」という女の子が、亜紀に言っていた言葉も「同感」だと思いましたけど、
最終的には・・・あれで良かったんじゃないでしょうか。
私が期待していた展開とは違いましたけど、それは「単なる私のエゴ(しかもかなり微妙な内容)」なので。
私は、「らしさ」というのを求めていたんですけど、それはエゴになる事があるようです。
この人は、現実に同じタイプの人が・・・いるなぁ。
その方も、亜紀の様になれれば良いのになぁとは思いつつも、
おそらく無理だろうとも思います。
といっても、亜紀の「今の性格が形成された"経緯"の下り」を読んで、
「なるほどなぁ」とは思いましたけどね、支持はしないけど。

3.日下部 稜子

私的には、亜紀に比べれば好みな女の子w
確かに、頭が良いとは思えず、その点で苦労しそうなのは確かですけど、
でも「あの純粋さ」は素敵w
しかも、最終的には、空目にああいう事を言ってカッコ良かったし、
私的イタズラをしたくなる女の子でしたw
あと、真面目な所だと、
「共感力が高い」のは、ああいうデメリットもあるんだなぁと、気付いたことでしょうか。
現実では、こういう子はそれなりには存在するのではと思います。
むしろ、亜紀の方が珍しいと思います。

4.近藤武己

「超」の付く「凡人」(稜子も同じだと思います)ですけど、
これがこれが、カッコいいんですね。
なんというか、「愛を得るには、友を捨てる必要がある」のではと思いました。
あと、武己と稜子の言動を見ていると、
「凡人でも出来ることはある」んじゃないかなぁと、思いますね。
現実には、稜子と同じく結構いらっしゃると思います。

ここまでが多分、「普通の人間」なんじゃないかなぁと思います。
ここから下は、「良くも悪くも変な人達」だと思うので。
あと、ここまでで興味深かったのは、
意外にも「凡人」とされている武己・稜子ペアの方が、
俊也・亜紀ペアよりも、「言動の変化が"速かった"」事でしょうね。
「自分は凡人である」というのに速く気付けるのも、スキルの一種なのでしょう。
周囲をよく見ていたから、速く気付けたんじゃないかなぁと思いますね。

では、続き。

5.・神野陰之

あまり出てこないのもあって、イマイチ謎な人なんですけど、
「願望」の大切さを説いているのが印象深い。
確かに、予想していた以上に、「願望を"強く"持つ」のは大切な様です。
これが無いと、どうしても言動が弱くなってしまうし続かないんじゃないですかねぇ。
だから、「己の成すべき事」を知ると同時に、
その成すべき事に対しては、強く願望を持つ事が大切なんじゃないですかね。
成すべき事を知らずに定めずに、色々な事に対して願望を抱いても、
多分何一つ成せないと思いますし。
現実で似ている人は・・・さすがに存在しないでしょう、この方は。

6.小崎摩津方

なんか、登場の「仕方」から、木村圭子という女の子に対しての接し方まで、
「愛すべき人」にしか見えませんでしたwwww
あと、ちょっとガメついキャラだなぁとw
私的には、思い出しただけで笑ってしまう人ですwww
ただ、「生に対する願望が物凄く強かった」り、
最終巻で登場する「かの名言」を見ると、「活き活きしている人」だなとも思います。
「人間らしい」と思いますけどね。
現実では、学びにおける私の師匠が、摩津方に「そっくり(というより"似合う")」だと思いますwww

7.空目恭一

「感情論」が全く理解出来ない(でも、話は聞く)人。
私自身は、この人にちょっと似ているかもと思いましたけど、
ただ、私は感情論を全く理解出来ないわけではない(支持するとは限らないけど)ので、
その辺は、似ていないですね。
言動はマトモだと思いましたけど、自分に似ているのだから当然かなと。
でも、マトモな分、面白みもない様に思いますね、「安全」ではあるんですけど。
あと現実では、私は相手によっては「他人に一切期待していない」という言動を取るので、
その辺は似ていますね。

8.戸叶詠子

小説内では「悪役扱い」な人なんですけどねぇ。
でも、私は彼女の考えに近いです。
ところがコレ、現実だと一歩間違えれば、ブラック企業の経営者になりかねない気もしたんですよね。
つい最近、私自身もワタミの社長に似ている(自分は特別じゃないので、自分が出来れば他の人も出来るはず)所があるなとも思いましたし。
「ブラック」という言葉を、「何をもってブラックとするか」次第で、
彼女に対する支持・不支持が分かれる気がしますね。
例えば一つ挙げるなら、
「私は、"そこそこ"にしか仕事するつもりないし、言われたことしかやらないし、自分の専門分野について"そこそこ"しか学ぶつもりがないけど、有給全消化で残業時間ゼロで私に分かるような説明で年金もちゃんと払って下さい」とか言う人に対して、
「会社辞めてくれない?」と言ったら、
「これじゃあブラック企業です!私が路頭に迷っても良いんですか?」とか言われてもねぇって思うわけですよ。
だから、私は多分、社員を雇うこと(まぁ、会社持ってないけど)は、おそらくないでしょうね。
ただ、詠子の側で一つこれは必要だったのではと思うのが、
周囲とのコミュニケーションが足りない事による「齟齬」があって、
それが「勇み足」的な言動になっていると感じた箇所があったかなと。
「あやめとの会話」で、その辺が出ていましたよ。
基本的な方向性としては、そうおかしいとは思わなかったんですけど、そこはちょっと気になりました。
ブラック企業とか、いわゆる「負」や「害」とされているものを、
「負」や「害」だと思うからそう見えるんだと思います。
その現実を踏まえた上で、自分はどう生きていけば良いのかを決める必要があるんじゃないですかね。
「支持」するも「不支持」するも、「受け入れる」も「受け入れない」も自由だとは思いますけどね。
あと、詠子は「人間ってとても強いものだよ?」って思っていて、
私は「めちゃくちゃ強くはないんじゃないか」と思っているんですけど、
とはいえ、「5〜10年経っても、どうするかを決められない程には弱くはない」し、
「話が出来ない動物であるほど弱くもない」と思うんですけどね。
だって、武己や稜子の「凡人」でも出来たんですから。
「意見を表明しないのは、同意に見なされる」事を知っていますか?
そして、同意した結果、どうなっていくかを「想像」していますか?
ちなみに、私は知っている上で、意見を表明していないです。
その結果として起きた事も、「仕方ないよねぇ、何もしなかったんだから」と思います。
後になってからでは、遅いかもしれないですよ?

詠子がやっていることは、フィクションなのでやり過ぎですけど「試練の一種」だと思います。
そういった視点でこの小説を読んでみると、違う印象を持つかもしれませんよ。

さて、私個人としては、
他にも「動機」と「過程」と「結果」についての下りとか、他にも興味深い話があったので、
次回読む時には、その辺を意識して読んでいきたいと思います。

それでは、最後はやはりこの言葉で締めたいと思います。

「みんなが"本当の自分"になれますように」